第十話/下鴨神社で会いましょう。空想主義者かく語りき。

琵琶湖疎水の涼やかな水流に沿って ふたり寄り添って 僕らは歩いた。 北は銀閣寺から 南は南禅寺へと続く小道『哲学の道』 沿道に植えられた桜の新緑が眩しい。 きみの笑顔が嬉しい。 先の出来事をきっかけにして ふたりの距離は近づいたように感じた。 道中…

第九話/下鴨神社で会いましょう。笑って笑って笑って。

「あなたのこと許すわ」 と彼女は言った。 「でも許さない」 と彼女は続けた。 「ワンピースのことを 黙っていたことはもういいわ 許してあげる。 私があなたの立場だったとしても もしかしたら言い出せなかったかもしれないから。 でもね、 だからといって …

第八話/下鴨神社で会いましょう。思えばあれがきっかけだったね。

「どうして教えてくれなかったの!?」 彼女は怒鳴った。 怒髪が天を衝く勢いで怒鳴った。 その小さな身体のどこから? いったいどこからそれだけの声量が生み出されているのだ? 拡声器でも付いてんの? 喉に拡声器でも付けてんの? 実はアンドロイドなの?…

第七話/下鴨神社で会いましょう。それは寒さのせいじゃない。

僕は彼女に珈琲をかけた。 そして、僕らの時間が止まった。 自身の身に起こったことを 彼女は理解出来ないでいた。 いや、違う。 何が起きたのか 事象としては分かっていたはずだ。 今日、初めて会った男に 珈琲を掛けられたのだ、唐突に。 だけど、どうして…

第六話/下鴨神社で会いましょう。タイムフリーズ発動。

完璧だ! 恐いくらいに完璧な作戦だ! (この作戦を完璧だと信じていた自分が 本当に恐い(^-^)) この計画が上手くいったら 彼女は間違いなく僕に惚れる! 惚れてしまう! いやはや、まいったぜ! 心はすでに有頂天!! 僕は今回の作戦を 『今夜あなたにLOVE…

第五話/下鴨神社で会いましょう。待っててね、セリヌンティウス。

さて、話を前回の冒頭に戻そう。 僕がブレンドを睨んでいたのは 現状への不満が理由ではない。 (はやく冷めろ) そう念じていたのである。 いや、違う。 別に僕は猫舌ではないし 熱い珈琲は好物だ。 「だったら何故 珈琲が冷めるのを待ってたの?」 ふふふ…

第四話/下鴨神社で会いましょう。冷めたブレンドはお好きですか?

京都大学北門前にある 『進々堂』という喫茶店で 僕はブレンドを睨み。 彼女はうっとりとした表情を カフェラテの泡の上に浮かべていた。 日本の未来を担う京大生が こぞって訪れるという噂の進々堂。 その店内は、実際に歴史が古いのか はたまた、そう思わ…

第三話/下鴨神社で会いましょう。Bump of chicken!!

彼女の白いワンピース 天使の羽のように白いワンピース そのお尻のところが。 濡れてる。 赤く。 血だ。 ワンピースの臀部の部分が血で真っ赤!? 「Oh my God!!」 「なんてこった!!」 僕は叫んだ! 胸中で。 こんなとき、一体どうしたら良いのでしょう…

第二話/下鴨神社で会いましょう。純白はよく染まる。

彼女は白いワンピースを着ていた。 初夏の日差しを受けて 彼女と彼女を包み込む空間は キラキラと輝いていた。 「はじめまして」 お互いに照れつつも初見の挨拶を済ませる。 実際の僕の容姿を見て 彼女がどのように感じていたのかは、わからないが 少なくと…

第一話/下鴨神社で会いましょう。

インターネットの とあるコミュニティサイトで 知り合った女性と 先日、京都で会いました。 今日は彼女との出会いによって生じた 嬉し恥ずかしの出来事について語ります。 『恋愛とはなにか? 私は言う。 それは非常に恥ずかしいものである。』 by 太宰治 「…